第81回ベネチア国際映画祭 金獅子賞受賞したティルダ・スウィントン主演
「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」、観てきました!
サクッとあらすじを書きますと
病気で苦しみ安楽死を望む女性が親友と過ごす最期の数日間のお話。
実は私はペドロ・アルモドバル監督作、あまり観ていなかったのと、事前情報ほぼなく観に行きました。まず驚いたのが、映画館がほぼ満席だった事。こんなにも人気なんだというのがまず驚きでした。
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映画「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」率直な感想(ネタバレなし)
切実なストーリーなのにカラフルでアーティスティック!病室にも綺麗なお花が沢山。
そしてどれだけ富裕層の2人なんだ!と思いました。それがまず率直な感想でした。
ティルダ・スウィントンが演じるマーサと、その友人のジュリアン・ムーア演じるイングリッド。
あまり詳しくは書けませんが、もし、久しぶりに会う友人にマーサのようなお願いをされたら、私は引き受ける事ができるだろうかと。
そして、感情の起伏のあるマーサを演じるティルダ・スウィントンの演技が素晴らしかった。
ある想いを心に決め、そこに向き合ってる姿。リアルでした。
映画「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」あらすじ
小説家のジュリアン・ムーア演じるイングリッドは、あるきっかけで友人のティルダ・スウィントン演じるマーサが重い病気で入院している事を聞き、お見舞いに行く。
何度か見舞う中で色々な話をしながら盛り上がる2人。
マーサは回復の見込みのない辛い治療ではなく、自らの意志で安楽死を望む事をイングリッドに打ち明け、その最後の数日に、自分の側に居てほしいと相談する。

べったりと側に居てほしいというのではなく、ある一定の距離を保ち、独立した大人の女性が、お互いの命の気配を感じながらその日を待つ数日間を過ごすお話。
ここまで書くとかなり深刻で暗い感じがしますが、それが全然深刻で暗いイメージではなく、カラフルでお花やアート作品、色の洪水の中で描かれる。新しい感覚のヒューマンドラマ。
何気なく進むストーリーですが、これは実力派女優2人の演技が圧倒的であり、そのカラフルでお洒落な空間が辛気臭くなる手前でリアリティを持って描かれている。富裕層の大人で自立した女性2人が、それでも心の奥底にある孤独をソフトなタッチで心で触れあるようなストーリーでした。
元々の原作は、アメリカの作家シーグリッド・ヌーネスによる『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』(原題What Are You Going Through、2020年)で、シーグリッド・ヌーネスがその前に出し全米図書賞を受賞した『The Friend(友だち)』という作品と対比になっている小説と言われています。
英語の原作も今はAmazonで手に入れる事ができます↓原題は「What Are You Going Through」

What Are You Going Through: Now a Pedro Almodóvar film – THE ROOM NEXT DOOR (English Edition)
日本語訳も早川書房から出ています↓
女優2人の凄い所
ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアは共に64歳、美しいです。
ティルダ・スウィントンはロンドン生まれ、父方の祖先はスコットランドの名家、お母様はオーストラリア人、ケンブリッジ大学を卒業後ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで演劇を学び、映画監督のデレク・ジャーマンさんとの出会いから映画界でご活躍され続けています。
映画『フィクサー』でアカデミー助演女優賞と英国アカデミー賞 助演女優賞を受賞されたり、カンヌ国際映画祭など数々の映画祭の審査員なども務めていらっしゃいます。2025年2月には第75回ベルリン国際映画祭で金熊名誉賞を受賞されています。
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ジュリアン・ムーアはアメリカノースカロライナ州出身、世界三大映画祭(ヴェネツィア国際映画祭、ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭)のすべての女優賞を受賞している凄い人。2014年公開の映画『アリスのままで』で若年性アルツハイマー病に侵された女性を演じ、第72回ゴールデングローブ賞の主演女優賞、第87回アカデミー主演女優賞も受賞している。
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映画「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」に登場する2人の衣装がお洒落!!!色も可愛い!死を前にした人を描いた作品てどうしてもパジャマとか地味めな服のイメージでしたが、凄いカラッとしたビビットなファッション。
死を前にした2人の切実さが、リアリティーを持って感じられるのはこのお2人の自然だけど嘘のない演技のせいだと実感しました。
ペドロ・アルモドバル監督ってどんな作品を撮ってる人?
スペインの映画監督・脚本家・映画プロデューサーとして活躍しているペドロ・アルモドバル監督、75歳。ブレイクのきっかけは7本目の監督作品である映画『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(1987年)でヴェネツィア国際映画祭脚本賞を受賞した事と、アカデミー外国語映画賞にノミネートされた事をきっかけに世界で知られる監督となった。
その後監督した女性を主人公にした後に「女性賛歌三部作」と言われる3作品が、全て大きな映画賞を受賞されています。
ペドロ・アルモドバル監督の女性賛歌三部作
・『オール・アバウト・マイ・マザー』(1999年)
カンヌ国際映画祭監督賞、アカデミー外国語映画賞など多くの賞を受賞。
・『トーク・トゥ・ハー』(2002年)
アカデミー脚本賞を受賞。
・『ボルベール〈帰郷〉』(2006年)
第59回カンヌ国際映画祭で脚本賞と女優賞受賞作品。この作品でペネロペ・クルスはアカデミー主演女優賞にもノミネートされた。
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映画「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」びっくりした裏話
裏話でもなんでもないですが、ペドロ・アルモドバル監督は75歳!超ベテラン監督なのに、映画「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」の色んな部分が凄くフレッシュに感じました。
そして、ティルダ・スウィントンの若い頃を演じたのは俳優ユアン・マクレガーの4人の娘(内2人は養女)の次女エスター・ローズ・マクレガーです。とても美しくてチャーミングな雰囲気。
エスター・ローズ・マクレガー、実は2018年にフェンディの広告塔としてモデルとしてもご活躍されていて、歌手としても楽曲を発表されていてとても多彩な方。スター・ウォーズ実写ドラマTVシリーズ『オビ=ワン・ケノービ』では父親のユアン・マクレガーと共演されている。
観る前に知っていたらもっと面白い事
観る際に、とにかく部屋の絵画や象徴的なシーンなど、じっくり観て下さい。
その節々に色々な意味が秘められていて、それがどんな意味があるのかを想像したり調べたりするのも面白いです。
その中の一つとして、スタイリッシュなマーサの部屋のインテリア、一枚は、ティルダ・スウィントンのパートナーであるサンドロ・コップがティルダ・スウィントンを描いたものだそうです。
まとめ
前知識なく、まっさらな気持ちで映画「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」を見た時、あなたは何を感じるでしょうか?

もし自分自身がティルダ・スウィントンの演じるマーサ側だったら?
マーサに自分のそばに居て欲しいと言われるイングリッド側だったら?
これが映画で見る夢物語ではなく、現実の自分だったら?
じわじわと、自分の人生を内観せざるを得なくさせられる映画「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」
身近な人と一緒に見るも良し、1人でじっくり見るも良いかと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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